北海道の言葉に興味があって「なまら」や「したっけ」を聞いたことがある人は多いはずです。
でも意味や使い方、地域差が分からず使いどころに悩むこともありますよね。
この記事では定番の語彙を分かりやすく解説し、地域別やシーン別の使い方、語形成の特徴や学習時の注意点まで丁寧にお伝えします。
札幌や函館、旭川といった地域ごとの違いや挨拶・感情表現など実践で使える例も豊富に紹介します。
まずは日常で役立つフレーズから読み進めて、次の会話で自信を持って使えるようになりましょう。
北海道弁・北海道の方言一覧

北海道には独特で親しみやすい方言が数多く残っています。
日常会話の中でよく耳にする言葉を、意味と使い方のポイントとともに紹介します。
なまら
「なまら」は北海道で最も有名な強調語の一つで、とてもや非常にの意味で使われます。
- 非常に
- すごく
- とても
- めっちゃ
友人同士の会話で「なまらうまい」と言えば、「とても美味しい」という意味になります。
したっけ
「したっけ」は別れの挨拶や、話の切り替えで使われる表現です。
意味としては「それじゃあ」「では、またね」に近く、会話の最後に自然に置かれます。
めんこい
「めんこい」は「かわいい」を意味する古い言い回しで、赤ん坊や動物に使われることが多いです。
語感は柔らかく、親しみを込めた褒め言葉として使えます。
しばれる
「しばれる」は極端に冷えることを表す言葉で、寒さを強調するときに用います。
北海道の冬の会話で頻出し、季節感を伝える言葉です。
意味 | 類義語 |
---|---|
寒い | 冷える |
凍る | 身が引き締まる |
「今朝はしばれたね」と言えば、かなり冷え込んだ様子を伝えられます。
じょっぴんかる
「じょっぴんかる」は驚きやびっくりを表す言葉として使われることがあります。
地域や世代によって使われ方が異なるので、相手や場面を見て使うのが安全です。
うるかす
「うるかす」は食材を水や液体につけて柔らかくする、浸すという意味で使われます。
調理の場面でよく聞きますし、布や道具を湿らせるときにも使える表現です。
ばくる
「ばくる」は物をこっそり持ち去る、盗むという意味合いで使われることが多いです。
少し砕けた表現なので、公的な場面では使わない方が無難です。
おっちゃんこ
「おっちゃんこ」は腰を下ろす、座るといった動作を表す語です。
「おっちゃんこしなさい」と言えば、「座りなさい」の意味になります。
つっぺ
「つっぺ」は地域によって意味が変わることが多く、鼻を指す、突き出すといった意味で使われる場合があります。
用途が限定的で、場面を選ぶ表現ですので、使う前に周囲の使い方を確認すると安心です。
わや
「わや」は混乱している、めちゃくちゃだという意味で用いられます。
物事がうまくいっていない様子や、散らかった状態を表現するのにぴったりです。
いずい
「いずい」は居心地が悪い、しっくりこないといった不快感を表す言葉です。
服がチクチクする、動きにくいなど、具体的な違和感を表すときに使えます。
サビオ
「サビオ」は絆創膏のブランド名から転じて、バンドエイドを指す北海道特有の呼び方です。
ケガをしたときに「サビオ貼って」と言えば、すぐに意味が通じます。
地域別に多い北海道弁

北海道は広く、同じ方言でも地域差がある。
ここでは札幌、函館、旭川、釧路・根室それぞれに多く見られる言い回しと特徴を紹介します。
札幌周辺
札幌周辺は道内でも人口が集中するため、新旧の言葉が混ざり合っています。
都市的で聞き取りやすい表現が多く、日常会話に取り入れやすいです。
- なまら
- したっけ
- めんこい
- いずい
テレビやラジオでも耳にする機会が多いでしょう。
函館周辺
函館周辺は歴史と交易の影響が残り、やや古風な語彙が聞かれます。
特徴 | 代表例 |
---|---|
航路文化 | じょっぴんかる |
女性語傾向 | めんこい |
語尾の抑揚 | したっけ |
観光地としての側面もあり、方言が観光資源として楽しまれることがあります。
旭川周辺
旭川周辺は道北の影響を受け、言葉が直截的で力強い印象が強いです。
気候に関連した語彙が豊富で、しばれるのような表現を日常で聞きます。
農村部では古い言い回しが残り、ばくるやうるかすといった動詞が自然に使われています。
釧路・根室
釧路・根室は東北海道の玄関口で、東北寄りのアクセントが混ざることがあります。
アイヌ語由来の地名や語彙が色濃く残り、漁業文化に根ざした言葉が豊富です。
つっぺやわやのような強めの表現が日常で使われる一方、場面に応じて丁寧に言い換えられることも多いです。
シーン別で使える北海道弁

ここでは、日常の場面ごとに使える北海道弁を分かりやすく紹介します。
旅行や会話の練習に使える例文も交えますので、そのまま真似してみてください。
挨拶
北海道弁の挨拶は親しみを込めた短めの表現が多いです。
フォーマルな場面では標準語に近い言い方をすることが多いので、相手や場面を見て使い分けると安心です。
- おはようだべ
- こんにちはだよ
- おつかれさま〜
- したっけね
挨拶で「したっけ」を使うと、別れの意をやわらかく伝えられます。
感情表現
感じたことをストレートに言う北海道弁は、感情を豊かに伝えられます。
表現によっては若者言葉や地域色が強くなるので、相手を選んで使うのがよいです。
方言 | 意味 | 使い方例 |
---|---|---|
なまら | とても | なまらおいしい |
めんこい | かわいい | 子どもがめんこい |
しばれる | 非常に寒い | 朝はしばれるね |
感情表現ではイントネーションも大切で、語尾を上げるだけで親しみが出ます。
依頼・お願い
頼みごとをする時は、相手との距離感に応じて丁寧さを調整する必要があります。
カジュアルな場面では「〜してけろ」や「〜してくんさい」が使われますが、目上の人には避けたほうがよいです。
例として、友人に頼むときは「ちょっと手伝ってけろ」。
店員さんや初対面の人には「お願いできますか」「〜していただけますか」と標準語で丁寧に伝えると失礼になりません。
否定・断り
断るときの表現は、角を立てない言い方が多用されます。
たとえば断りを入れるときは「無理だべ」や「今回は遠慮するわ」といった柔らかい語が使われます。
はっきり断る必要がある場面では、「申し訳ないですが難しいです」と丁寧に伝えるのが安心です。
断る理由を一言添えると、誤解を防げます。
日常動作
日常の動作を表す北海道弁には、古くから使われている言い回しが残っています。
たとえば、濡らすを「うるかす」と言ったり、盗むに近い意味で「ばくる」を使ったりします。
買い物や食事の場面では「これ、めんこいね」と商品を褒めることが多いです。
練習するときは、簡単な会話フレーズを繰り返し声に出してみると身につきます。
北海道弁の語形成パターン

北海道弁にはいくつかの典型的な語形成パターンがあり、語尾の変化や語の短縮、重ね表現、外来語の転用などが特徴的です。
この章ではそれらのパターンを具体例とともに分かりやすく解説します。
語尾変化
北海道弁の中で最も目立つのは語尾の変化で、語感を和らげたり、強調したりする働きがあります。
地域や年代によって使われる語尾が異なり、同じ意味でも別の語尾が選ばれることが多いです。
- 〜なまら
- 〜したっけ
- 〜べさ
- 〜さ
- 〜っしょ
これらの語尾は語調や場面で使い分けられ、親しみや疑問、断定のニュアンスを表します。
短縮と脱落
北海道弁では音の短縮や音節の脱落が頻繁に起こり、会話が素早くなります。
元の語の一部を落としたり、助詞や接尾語が省かれたりする例が多いです。
標準語 | 北海道弁(短縮) |
---|---|
でしょう | だべ |
〜しないか | 〜しね |
とても | なまら |
おじいさん | おっちゃん |
短縮や脱落は会話のテンポを作る要素で、聞き取りの際には慣れが必要です。
重ね語
同じ語を二度繰り返して強調する「重ね語」も北海道弁でよく見られます。
柔らかく親しみやすいニュアンスを出したいときに用いられ、感情の高さを伝える効果があります。
例えば「めんこいめんこい」は「とても可愛い」という意味合いで使われます。
また「くらくら」は酔いやめまいの状態を表し、擬態語としての機能も強いです。
外来語の転用
北海道では外来語が独自に転用され、標準語とは異なる意味で使われることがあります。
語形はそのままでも、使われる場面やニュアンスが変わるため注意が必要です。
代表的な例としては「サビオ」のように商品名が一般名詞化したケースがあります。
ほかにも英語やアイヌ語由来の語が生活語として定着しており、地域文化が反映されています。
学習と使用で気をつけること

北海道弁を学ぶときは、面白さだけでなく使う場面を意識することが大切です。
気軽に使える表現も多い一方で、地域や相手によって受け取り方が変わる点に注意が必要です。
地域差
北海道は広く、同じ単語でも地域によって意味やニュアンスが異なることがあります。
例えば札幌周辺でよく聞く言い回しが、道東や函館ではあまり使われないことがあるでしょう。
旅行先や引っ越し先で地元の言葉をそのまま使うと、通じないか誤解を招く場合がありますので、まずは聞いて真似をする姿勢がおすすめです。
世代差
世代による語彙の違いも大きく、年配の方が使う古い言葉は若者には通じにくいことがあります。
若い世代では新しい略語や外来語の影響を受けた言い回しが定着しています。
- 高齢者の語彙
- 中高年の混在表現
- 若者言葉と略語
相手の年齢層を少し観察して、使う言葉の強さを調節すると受けが良くなります。
敬語の使い分け
北海道弁は親しみを込めた表現が多く、敬語と混ざると不自然に聞こえることがあります。
上司や目上の方には標準的な敬語を基本とし、砕けた表現は控えるのが無難です。
どうしても方言を使いたい場合は、まず標準語で敬意を示しつつ、相手の反応を見て少しだけ入れると角が立ちません。
誤解回避
似た発音でも意味が違ったり、標準語では失礼に聞こえる表現があるため、誤解を避ける配慮が必要です。
コミュニケーションの初期段階では、分からない言葉は素直に確認する習慣をつけると安心です。
方言 | 標準語の意味 |
---|---|
なまら | とても |
めんこい | かわいい |
しばれる | 非常に寒い |
言葉の一覧を覚えるだけでなく、文脈や相手の表情を読み取る力も大切にしてください。
北海道弁を使ってみる次の一歩

北海道弁を日常に取り入れる第一歩は、無理せず簡単な表現から使うことです。
朝の挨拶や感謝の言葉だけで十分です。
ラジオやドラマで発音やイントネーションを真似して、地域差や世代差も観察してください。
友人や店員さんに軽く使って反応を確かめるのもおすすめです。
敬語や場面を選ぶ配慮は忘れないでください。
間違いを恐れず、楽しみながら続けましょう。