冬の準備が忙しい中、庭木やバラの冬越し対策がうまくできるか不安な方は多いはずです。
北海道で行う冬囲いは強風や重い積雪による枝折れや鉢の凍結、根痛みといった被害が起きやすく、準備不足だと被害が拡大します。
この記事では実施時期や気象チェック、資材選び、設置手順、雪下ろしやトラブル対応、撤去の目安まで実践的に解説します。
支柱や不織布など道具別の選び方や自作費用、業者依頼の目安も紹介するので、初心者でも無理なく準備できます。
まずは本文で手順を確認し、最後のチェックリストまで読んで今シーズンの対策を確実に進めましょう。
北海道の冬囲い実践ガイド

北海道の冬囲いは雪と強風から植物を守るための大切な作業です。
地域差が大きく、札幌と道東では作業時期や注意点が変わります。
実施時期
基本的には初雪の前に終えるのが理想です。
札幌周辺なら11月上旬から中旬、道北や道東の寒冷地では10月下旬からの準備が安心です。
朝晩の最低気温が0度前後で落ち着く日が続いたら本格的に着手してください。
気象チェック
天気予報だけでなく、風速や積雪予想も確認します。
風速が強い予報の日は支柱の強度を確かめておくと安心です。
短時間で大雪の予報が出た場合は、雪対策を優先的に行ってください。
資材準備リスト
準備が遅れると作業が増えてしまいますので、早めの買い出しをおすすめします。
- 支柱(竹やスチール)
- 寒冷紗
- 不織布(ガード用)
- 麻紐や園芸用ロープ
- 防風ネット
- 園芸用ハサミと手袋
- 雪落とし用の柔らかいブラシやポール
庭木の手順
庭木はまず枯れ葉や伸び過ぎた枝を整理しておくと作業が楽になります。
主幹を中心に支柱を立て、風上側に多めに補強してください。
寒冷紗や不織布を用いて、通気を確保しながら全体を覆います。
覆いはピンと張りすぎず、雪が積もったときに負荷を分散できるようゆとりを持たせます。
バラの手順
バラは乾燥と寒害の両方に弱いので、根元と冠部の保温を重視します。
剪定は軽めにとどめて、枝を束ねて支柱に固定してください。
品種によっては株元を土で覆う根伏せが有効です。
不織布で全体を覆い、寒冷紗で風除けを作ると病気のリスクも下げられます。
鉢植えの手順
鉢は水はけを確保しつつ、凍結による割れを防ぐ対策が必要です。
小さな鉢は屋内やガレージに移動するのが最も安全です。
移動が難しい大鉢は断熱材やスタイロフォームで包み、風が当たらない場所に寄せます。
鉢底に砂利を入れて水が溜まらないようにしておくと、根腐れを防げます。
撤去の目安
春先に気温が安定して日中に10度前後になる頃が目安です。
ただし夜間の霜が続く場合は撤去を遅らせる判断が必要です。
早めに外してしまうと新芽が霜にやられる可能性がありますので注意してください。
判断材料 | 目安内容 |
---|---|
気温 | 日中10度以上 夜間の霜なし |
植物の様子 | 新芽の肥大が見られる 葉の色が安定している |
土の状態 | 表土が乾き始めている 凍結が解けている |
資材と道具の選び方

冬囲いで使う資材は耐久性と扱いやすさの両方を重視して選ぶと安心です。
北海道の強風や重雪に耐えられる仕様かどうかを必ず確認してください。
コストと再利用性も検討すると、長期的には節約につながります。
支柱
支柱は庭木の形状や高さに合わせて種類を選ぶ必要があります。
強度を優先するなら金属製が安定しますが、見た目や植物への当たりを考えると竹や木製も人気です。
設置時は地中への固定深さと支柱同士の間隔を意識して、風に対する耐性を高めてください。
種類 | 特徴 | 向く用途 |
---|---|---|
金属 | 高耐久 | 高木や強風地域 |
竹 | しなやかさ | 伝統的な見た目 |
木製 | 自然調和 | 低中木の庭木 |
プラスチック | 軽量 | 短期使用や鉢植え |
寒冷紗
寒冷紗は通気性を保ちながら霜や乾燥を和らげるために使います。
光量をある程度通す素材なので、植物の呼吸を妨げにくい点が利点です。
用途別に厚さや目合いを選ぶと効果が上がります。
- 寒冷紗薄手 屋外の軽い防寒用
- 寒冷紗中厚 手ごろな保温と通気のバランス
- 寒冷紗遮光タイプ 強い風雪や霜対策
不織布
不織布は保温性に優れ、簡易なハウス代わりにもなります。
重さがあり雪の負担がかかる場所では補強が必要です。
透湿性の違いで冬場の結露リスクが変わるので、商品説明をよく確認してください。
麻紐
麻紐は園芸用の定番で、結びやすく劣化も目で確認しやすい素材です。
植物に直接締め付けすぎないよう注意して使ってください。
長さに余裕を持たせて結び目を作ると、雪の重みで緩むリスクが減ります。
防風ネット
防風ネットは強風による枝折れや乾燥を防ぐのに効果的です。
目合いの粗さで風の透過量が変わりますので、設置場所に合わせて選びましょう。
冬季は雪を受けやすくなるため、支柱と組み合わせて十分に固定してください。
設置の基本手順

冬囲いの効果は、正しい設置手順によって大きく左右されます。
ここでは設置前の点検から支柱設置、覆いの取り付け、固定確認までを順に解説します。
作業は安全を最優先に、無理せず取り組んでください。
設置前点検
作業を始める前に、現地の状況を細かく確認します。
風向きや積雪の予報をチェックし、当日の強風や大雪の可能性がある場合は日程を調整してください。
被覆に使う資材に破れや劣化がないかを点検し、予備を用意しておくと安心です。
工具類の動作確認も忘れずに行ってください。
- 支柱本数
- 固定具
- 不織布
- 寒冷紗
- 麻紐
- ハサミ
- 軍手
- スコップ
- ロープ
支柱設置
支柱は植物の形状や予想される雪荷重に応じて選ぶことが重要です。
地中に確実に埋め込み、抜けやすい向きで力を受けないように設置します。
植物サイズ | 支柱長さ | 支柱間隔 |
---|---|---|
低木 | 80cm | 30cm |
中木 | 120cm | 50cm |
高木 | 180cm | 80cm |
表を目安にして、現場の土質や根張りを考慮しながら支柱の深さを決めてください。
支柱は斜めに打ち込むと引き抜きやすさが減少し、耐風性が高まります。
複数本で三角形やドーム状に組むと、雪の重みを分散できます。
覆い取り付け
覆いは通気と保温の両立を意識して取り付けます。
まず不織布や寒冷紗を内側にし、外側に防風ネットを配置するのが基本です。
重ね合わせは十分にとり、隙間から風が巻き込まないようにしてください。
鉢植えや繊細な枝先は、直接強く抑えつけないように柔らかく包むと良いです。
覆いの端は地面にしっかり落とし、風の巻き上げを防ぎます。
覆いの高さは枝の先端より余裕を持たせ、伸びやすい部分にストレスがかからないようにします。
固定確認
全ての固定が終わったら、必ず各箇所を目で確認してください。
麻紐やロープの結び目は緩みやすいので、縛り直しの方法を覚えておくと安心です。
風で煽られた場合の動きを想定し、手で軽く揺らして固定力を確かめます。
必要ならば、地面に打ち込むタイプのアンカーや重しを併用すると安全性が増します。
設置後は数日以内に一度点検し、雪や風の後も定期的にチェックしてください。
風雪と雪下ろし対策

北海道の冬は風と重い雪が同時にやってくることが多く、適切な対策が必要です。
風で支柱が揺れ、雪の重みで被覆が潰れると枝折れや根元の損傷につながります。
ここでは支柱の配置から雪下ろしの頻度、融雪対策まで、現場で役立つ実践的な方法を丁寧に解説します。
支柱配置
支柱は木や株の重心を意識して配置することが基本です。
風向きが一定であれば、向かい風側に補強用の支柱を追加してください。
支柱間の間隔や本数は植物の高さや樹冠の広がりに合わせて決めると効果的です。
植栽 | 支柱配置目安 |
---|---|
小低木 | 1本中心 |
中木 | 2本対向 |
高木 | 3本支点 |
つる性植物 | 外周支柱 |
固定方法
支柱は地中に十分な深さで固定し、緩みが出ないようにしっかり打ち込みます。
結び方は樹皮を傷めないように工夫することが大切です。
麻紐や専用ベルトを使用し、クッション材を挟んでから結ぶと摩耗を防げます。
風で煽られる部分には斜めの控えロープを取り付け、テンションを分散させてください。
ロープの結び目は定期的に確認し、凍結や摩耗が確認された場合は早めに交換します。
雪下ろしの頻度
雪が積もったら速やかに確認し、重さが負担にならないうちに落とすのが原則です。
とくに湿った重たい雪では、短時間で被覆や枝に負担がかかります。
- 新雪30cm以上で点検
- 湿雪の降雪直後で雪下ろし
- 連日の積雪が見込まれる場合は1日1回以上
- 強風後は早めの確認
雪下ろしは手で払うか、柔らかいブラシや柄の長いほうきで行うと被覆を傷めにくいです。
高所作業になる場合は無理をせず、複数人で作業するか業者に依頼してください。
融雪対策
融雪は根や地表の凍結防止と、春の早期排水の両面で重要です。
マルチングや落ち葉堆肥で地表を覆うと、地温の緩衝効果が得られます。
電気式融雪ヒーターを使う場合は設置位置と配線の防水に注意してください。
融雪剤は即効性がありますが、塩分が含まれる製品は根を傷めることがあるため、使用を避けるか周囲に影響が出ないように散布量を管理してください。
また、屋根から落ちる雪の落下地点には緩衝用の柵や追加の支柱を配置して、被害を最小限に抑える工夫が有効です。
トラブル別の対処法

冬囲いをしても、予期せぬトラブルは発生します。
ここでは枝折れ、結露やカビ、動物の被害、早春の芽吹きといった代表的な問題に対する実務的な解決策を紹介します。
枝折れ対策
雪や強風で枝が折れた場合は、まず落ち着いて被害状況を確認してください。
折れた枝は根元近くで清潔な剪定鋏を使って切り戻してください。
裂けた樹皮が残る場合は、裂け目の下から上に向かって滑らかに切り取り、感染リスクを下げます。
太い枝が折れて幹に裂け目ができたときは、防腐剤や園芸用ワッテープを用いて水分の侵入を防いでください。
事前対策としては、冬前に余計な徒長枝を落としておくことと、支柱やロープで枝を分散支持することが有効です。
特に果樹や高価な植栽は、雪の多い日はこまめに雪下ろしをすることをおすすめします。
結露・カビ対策
覆いを密閉しすぎると結露が発生し、カビや根腐れの原因になります。
通気性と保温性のバランスをとることが重要です。
原因 | 対策 |
---|---|
密閉状態 | 定期的な換気 |
湿度過多 | 吸湿剤配置 |
低温と高湿の併合 | 保温材見直し |
覆いの裾に小さな隙間を作り、風の弱い日に短時間だけ換気を行ってください。
吸湿剤やすのこを使って鉢底の通気を良くすると、根元の湿度を下げられます。
すでにカビが発生している場合は、被害部分を取り除き、風通しを確保した上で消毒してください。
動物侵入対策
冬は食料が少なくなるため、動物が囲いの中に入り込みやすくなります。
被害を最小限にするために以下の対策を組み合わせてください。
- 電気柵設置
- 防獣ネット張り
- 忌避剤散布
- 物理的バリケード強化
- 食べ残しの撤去
電気柵や防獣ネットは植物に触れない高さと張力で設置することが大切です。
臭いや音で追い払う忌避剤は効果が薄れることがあるため、定期的に種類をローテーションしてください。
夜間の見回りやセンサーライトの導入も、侵入を抑える有効な手段です。
早春の芽吹き管理
暖冬や急な気温上昇で早めに芽が動き出すことがあります。
芽がふくらんだ段階で覆いを一気に外すと朝晩の霜で芽を痛める危険が高まります。
晴れた日の日中に少しずつ覆いを開けて、外気に慣らす「段階的換気」を実施してください。
土の表面が凍っている場合は無理に持ち上げず、日中に温まってから作業することをおすすめします。
また、早期に害虫がつくこともあるため、葉が出始めたら早めに点検し、必要があれば防虫対策を行ってください。
自作費用と業者依頼の目安

冬囲いを自作する場合と業者に依頼する場合で費用感は大きく変わります。
庭の広さや樹種、雪の多さで必要な資材や作業時間が変わるため、まずは現状把握をおすすめします。
自作費用目安
自作は初期投資が必要ですが、繰り返し使える資材をそろえれば長期的には節約になります。
小規模な庭木や鉢植えなら数千円から数万円で準備可能です。
- 支柱 500〜2,000円
- 寒冷紗 不織布 500〜3,000円
- 麻紐 200〜800円
- 防風ネット 1,000〜5,000円
- 固定金具 テープ類 300〜1,500円
業者費用目安
業者に頼むと手間が省け、雪害に強い仕上がりが期待できます。
料金は作業の範囲と交通費、作業日の混雑具合で上下しますから、複数社で見積りを取ると安心です。
サービス内容 | 料金目安 |
---|---|
庭木の冬囲い | 10,000〜30,000円 |
バラの冬囲い | 3,000〜10,000円 |
鉢植えの回収設置 | 1,000〜5,000円 |
出張料 | 2,000〜10,000円 |
見積りの内訳を確認し、資材費と作業費が明確かどうかをチェックしてください。
自治体支援と補助金
北海道の各自治体では、高齢者や要支援世帯向けに冬囲い支援を行っている場合があります。
支援の内容は出張サービスの割引や資材補助、作業ボランティアの派遣など多岐にわたります。
申請には住民票や所得証明、作業依頼書が必要となることが多いので、事前に確認してください。
市役所の窓口や町の広報、ホームページで最新情報を入手すると手続きがスムーズです。
補助が受けられる場合は業者依頼との組み合わせで費用負担を大きく下げられます。
冬囲い北海道を実行する前の最終チェックリスト

北海道の厳しい冬に備え、最後の確認ポイントを簡潔にまとめました。
このチェックを完了すれば、庭木や鉢植えの冬越し対策に抜けや不安が少なくなり、春の被害を大幅に減らせます。
- 資材の破損や不足の確認
- 支柱の固定強度と根元の固定状況確認
- 覆いの隙間、風向きに対する向きの最終調整
- 根元のマルチングと排水状態の確認
- 鉢の保温対策と底上げの確実化
- 雪下ろし用具と除雪の動線確認
- 近隣や家族との作業日程と役割分担
少しの手間が春の安心につながりますので、落ち着いて順に確認してください。