北海道のさつまいも収穫時期ガイド|地域別の収穫月目安で失敗しない

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育てたさつまいもをいつ掘ればいいか、毎年迷って不安になる方は多いですよね。

特に北海道は気温や日照の差が地域ごとに大きく、品種ごとの成熟日数や土壌状態で収穫適期が変わるため、タイミングを誤ると収量や品質に響きます。

本記事では道南・道央・道東・道北・オホーツク沿岸ごとの収穫目安と、生育指標や品種別の成熟日数、収穫方法の選び方まで実務的に解説します。

さらに掘り起こしの手順や傷を防ぐ扱い方、追熟と貯蔵のポイントも紹介し、失敗を減らす情報をお届けします。

まずは収穫月の概況から確認して、現場で使えるチェック項目を順に見ていきましょう。

北海道さつまいも収穫時期ガイド

北海道庁旧本庁舎と赤レンガ通りの並木道

北海道の気候は本州と異なり、同じ品種でも成熟時期に差が出やすい特徴があります。

この記事では収穫適期の見分け方から収穫直前の最終チェックまで、実践で使えるポイントを丁寧に解説します。

収穫月の概況

北海道全体のさつまいも収穫は、一般に9月下旬から10月末にかけてが中心になります。

ただし道南と道北では気温差が大きく、収穫開始が数週間前後することが普通です。

降霜のリスクが出てくる地域では、霜の前に掘り上げを済ませる判断が重要です。

早掘りは未熟芋の混入を招き、遅掘りは凍害や腐敗のリスクを高めます。

収穫適期の生育指標

葉の黄色化が始まり、つるの元気が落ちてきたら収穫時期が近づいています。

つるが枯れてから2週間前後が目安とされることが多いです。

また、葉の裏や株周辺での根本の太り具合を確認すると、でん粉の蓄積状況が判断しやすくなります。

試し掘りをして、甘味や肉質が十分かを確かめることをおすすめします。

収穫前の土壌状態確認

収穫前は土壌の水分が適度に抜けていることが望ましいです。

重い泥土状態だと掘り上げ時に芋が傷みやすく、乾きすぎても土が崩れて掘りにくくなります。

理想は表面が軽く乾いており、掘り上げ時に土がまとまりやすい状態です。

雨の直後や凍結の兆候がある場合は、可能なら作業をずらしたほうが安全です。

品種別成熟日数目安

品種によって必要な生育日数が異なるため、植え付け時の品種特性を確認しておくと収穫計画が立てやすくなります。

品種 成熟日数目安
シルクスイート 120日から140日
べにはるか 110日から130日
紅あずま 100日から120日
玉豊 95日から115日

表の目安は暖地基準ではないため、北海道の各地域で実際の生育日数は前後します。

収穫方法の選択基準

収穫は手掘りと機械掘りの二択が基本で、それぞれにメリットと注意点があります。

選び方の判断材料として、次の要素を総合的に評価してください。

  • 栽培面積
  • 出荷規格
  • 土壌の硬さと水分
  • 労力と機械化レベル
  • 傷害最小化の優先度

小規模や高品質出荷向けなら手掘りでの選別が有利です。

一方で大規模栽培や短期間での収穫が必要な場合は、適切に調整した機械掘りが効率的になります。

収穫量の目安計算

収穫量の目安は品種別の作柄と栽培密度で大きく変わりますが、基本は株当たりと面積当たりの換算です。

一般的には一株あたりの平均重を算出し、株間と条間から植栽株数を掛けて面積当たりの収量を推定します。

圃場ごとに試し掘りを複数箇所で行い、ばらつきを考慮して安全側の予測を出すと良いでしょう。

出荷量を算出する際は、選別で除外されるサイズや傷物の割合も見積もりに含めてください。

病害虫の最終確認

収穫直前には芋の表面や根系の病斑、穴あき被害の有無を最終チェックします。

ウイルス症状や土中のセンチュウ被害は収量と品質に影響しますので、見つけたらその圃場の扱いを再検討してください。

収穫後の貯蔵で病気が拡大することを防ぐため、明確な症状がある芋は別置きにしてください。

また、収穫前に発生が見られた害虫は次作への防除計画にも影響しますので、記録を残すことをおすすめします。

地域別収穫月目安

北海道庁旧本庁舎と赤レンガ通りの並木道

北海道内でも気候差が大きいため、収穫の適期は地域ごとに変わります。

ここでは道南からオホーツク沿岸まで、目安となる収穫月と注意点を具体的にご案内します。

道南

道南は北海道の中で温暖な地域で、さつまいもの成熟が早く進みます。

一般的には9月上旬から10月上旬が収穫の最盛期です。

地温が比較的高いため、糖化も進みやすく、堀り上げ後の追熟も短めで済みます。

ただし、台風や秋の強風への備えは必要です。

道央

道央は内陸性の気候で昼夜の寒暖差が大きく、品質の良い芋が期待できます。

収穫目安は9月下旬から10月中旬です。

  • 9月下旬-10月中旬
  • 芽の枯れ具合確認
  • 霜注意の前収穫

畑の位置によっては水はけの差が出ますので、排水性も収穫時期の判断材料にしてください。

道東

道東は地域内に広い差があり、海岸部と内陸部で収穫時期がずれます。

地域 目安収穫月
太平洋沿岸 9月中旬-10月上旬
十勝平野 9月下旬-10月中旬
釧路根室 10月上旬-10月下旬

表の目安を基にしつつ、実際にはつるや葉の状況を確認して最終判断してください。

特に十勝では晴天が続くと生育が進むため、予定より早めに調整することがあります。

道北

道北は日照時間は長いものの、気温が低めで成熟に時間がかかります。

一般には10月上旬から10月下旬が目安です。

遅霜のリスクがあるため、収穫開始は遅くとも霜が来る前に終える計画が望ましいです。

土壌が凍結しやすい地域では、早めの掘り取りと速やかな貯蔵をおすすめします。

オホーツク沿岸

オホーツク沿岸は北海道でも冷涼で、成育期間が最も短くなる地域です。

収穫は一般に10月上旬から10月下旬が目安になります。

しかし年により寒暖のばらつきが大きく、早めの収穫判断が安全です。

また、保存中の低温障害を避けるため、収穫後の追熟計画を十分に立ててください。

品種別成熟と収穫目安

北海道庁旧本庁舎と赤レンガ通りの並木道

ここでは北海道で栽培される代表的なさつまいも品種について、成熟の目安と収穫時のポイントを分かりやすくまとめます。

気候や定植時期で収穫適期は前後しますので、目安としてご活用ください。

シルクスイート

シルクスイートはねっとりした食感と滑らかな舌触りが特徴の中晩生品種です。

北海道では概ね120日から140日で収穫の目安になりますが、道北や高冷地ではさらに遅れることがあります。

収穫のタイミングは葉や蔓の様子で判断するのが確実です、以下のポイントを確認してください。

  • 葉の黄変
  • 蔓の萎縮
  • 株元の土の割れ
  • 芋の肥大が止まっている感覚

葉が半分以上黄変し、蔓が柔らかく萎れてきたら収穫を検討してください。

なお、シルクスイートは収穫後に追熟させることで糖が増すため、掘り上げ後の扱いが味に直結します。

べにはるか

べにはるかは甘みが強く、追熟でさらに甘くなるため家庭用や加工用で人気があります。

成熟日数目安 収穫時期目安 追熟のおすすめ
120〜150日 9月下旬〜10月中旬 高温短期

表はあくまで一般的な目安で、植え付け時期や生育状況で前後します。

べにはるかは掘り上げ直後は甘みが控えめなので、温度管理による追熟を行うとよいです。

収穫は芋の肥大が止まり、葉の黄変が進んだ頃が目安になります。

紅あずま

紅あずまは早生の代表格で、短期間で収穫できるため初期出荷や早生栽培に向きます。

北海道では概ね90日から110日で収穫目安となり、道南の暖かい地域ではさらに早まることがあります。

早めに収穫すると形が良く、煮崩れしにくいため調理用途に適しています。

葉の色が濃く残っていても芋の肥大が止まっている場合は収穫を検討してください。

玉豊

玉豊は作りやすさと収量の安定性で評価される中早生品種です。

目安としては100日から120日程度で収穫可能ですが、盆地や暖地ではやや早くなる傾向があります。

皮が薄めで衝撃に弱いため、掘り上げや運搬時の取り扱いに注意が必要です。

蔓の枯れ具合と芋のサイズを確認し、傷がつかないように優しく扱って収穫してください。

収穫作業の手順と注意点

豊平館と池に映る美しい景観

収穫作業は芋の品質を決める大切な工程です。

適切な手順と注意点を守ることで、歩留まりを上げて商品価値を維持できます。

掘り起こし工程

掘り起こしは土の状態と芋の生育段階に合わせて慎重に行ってください。

早すぎると未熟芋が増え、遅すぎると土中で肥大が進みすぎて障害が出る場合があります。

  • 畝間の確認
  • 土の乾燥状態
  • フォーク挿入角度
  • 掘り上げ方向
  • 掘後の観察

まず畝間の幅と通路を確保して、機械や人の動線を作ってください。

乾燥が進んだ午前中や夕方は土が固くなるため、軽く湿った時を狙うのが一般的です。

手掘りの場合はスコップやフォークを株から適度に離して挿し、芋に直接当てないように持ち上げてください。

根切りと株の扱い

根切りは掘り上げた株の処理で、主に大根状の根や蔓を切る作業です。

株元の根を適切に切ることで次の作業が楽になり、芋の表面への傷を防げます。

切断は専用のはさみや刈払機のアタッチメントで行い、切り口はできるだけ滑らかにしてください。

切った株は畑の外に速やかに搬出し、芋と混ざらないようにすることで選別作業が効率化します。

人手で扱う際は株を引きずらないこと、投げないことを徹底して怪我や芋の損傷を減らしてください。

傷防止の取り扱い

さつまいもは衝撃と擦過に弱く、傷が付くと貯蔵性や糖化に悪影響が出ます。

掘り出した芋は柔らかい敷材の上に置き、落下や圧迫を避けて運搬してください。

選別作業は手早く行い、傷の有無で箱詰めを分けると貯蔵中の腐敗を抑えられます。

収穫時の手袋は滑り止め付きの薄手を推奨し、過度に力を入れずに扱う習慣を付けてください。

トラックやコンテナへの積み込みは一段ごとにクッション材を挟み、積み重ね過ぎないよう注意してください。

機械掘りの設定注意

機械掘りは省力化に有効ですが、設定を誤ると大きな損傷につながります。

作業前に掘削深さや回転数、走行速度などを確認し、圃場ごとに微調整してください。

石や硬い塊がある圃場では、アタッチメントの損耗と詰まりを早期に点検する必要があります。

作業中は数列ごとに目視で掘り上がりを確認し、設定変更が必要かどうかを判断してください。

設定項目 目安 留意点
掘削深さ 20-30cm 芋根の先端回避
ロータ回転数 低速-中速 破砕低減
走行速度 通常作業速度 安定掘削
爪間隔 標準設定 土塊除去

天候や土質で最適値は変わるため、初期数列で試運転を行ってから本格稼働してください。

故障予防のため、作業前後のグリスアップと緩み点検を忘れないでください。

収穫後の追熟・貯蔵管理

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収穫直後のさつまいもは見た目以上に水分やでんぷんが不安定で、適切な追熟と保管で甘みと保存性が高まります。

ここでは家庭でも実践しやすい追熟方法と温湿度管理のポイントを、用途別の目安とともにわかりやすく解説します。

追熟(糖化促進)

追熟の目的はでんぷんを糖に変えることで、甘さと風味を引き出すことです。

追熟は収穫後できるだけ速やかに開始することが望ましく、傷がついた芋は先に処理してください。

基本的な追熟方法は温度管理と期間の組み合わせで決まりますが、芋の品種や収穫時の成熟度で最適条件が変わります。

以下は家庭で行う際の簡単な手順です。

  • 泥を落とす
  • 風通しの良い日陰で表面を乾燥させる
  • 高めの温度で一定期間保管する
  • 室温での追熟後に低温貯蔵へ移行する

家庭での目安としては、25℃前後の環境で3〜10日ほど追熟させると糖化が進みやすいです。

ただし、暑すぎると腐敗が早まるため、換気とこまめなチェックが欠かせません。

貯蔵温度管理

追熟後の長期保存には低温管理が有効ですが、温度が低すぎると糖が失われたり内部障害が起きたりします。

一般的には13〜15℃を目安にするのが安全で、収穫直後の追熟期間は20〜25℃が向いています。

冬場に常温で保管する地域では、室内の暖房で温度が上がり過ぎないように注意してください。

冷蔵庫での保管は湿度と温度の低さから凍結や低温障害を起こす恐れがあり、避けるのが無難です。

湿度管理

貯蔵時の湿度は高すぎても低すぎても問題になります。

理想的な湿度は85〜90%前後で、乾燥によりしなびるのを防ぎます。

逆に湿度が過剰だと表面にカビが生えやすくなるため、風通しを確保して結露を防いでください。

家庭では湿度が低い場合、新聞紙や湿った布を敷いて調整する方法が使えます。

用途別貯蔵期間目安

用途に応じて保存期間と管理方法を変えると、品質を長く保てます。

次の表は代表的な用途ごとの保存条件と目安期間です。

用途 適正温度 保存期間目安
生食向け 13〜15℃ 2〜4週間
焼き芋用 13〜15℃で追熟後低温 1〜3ヶ月
加工用 10〜15℃ 3〜6ヶ月

表の期間はあくまで目安ですので、保存中は定期的に取り出して状態を確認してください。

特に不可視の内部障害や局所的な腐敗は見つけにくいため、早めの消費を心がけると安心です。

収穫前の最終チェック

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収穫に入る前の最終チェックは、収穫効率と品質を左右します。

まず天候と土の乾き具合、掘り取り予定日の気温を確認して、雨で地割れや泥濤が出ないか予測してください。

次に試掘で芋の大きさや皮の厚み、ひび割れや斑点の有無を確認します。

機械掘りなら作業機の刃や深さ設定の最終点検をし、人手による掘り取りなら手袋と道具の用意を整えてください。

最後に病害虫の発生と収穫後の貯蔵場所の温湿度管理計画を再確認して、スムーズな作業に備えます。

このチェックでトラブルを減らし、良品率を高めましょう。

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