北海道の庭で、冬越しするグランドカバー選びに悩んでいませんか。
耐寒性や耐雪性、日当たり、土壌、踏みつけへの強さなど検討項目が多く、失敗すると手間やコストが増えます。
この記事は、選び方の重要ポイントと北海道で育つ代表種、植え付け・年間管理・冬季対策まで実践的にまとめます。
シバザクラやクリーピングタイム、セダム、タマリュウなどの特徴比較や、植え場所の整地・根付くまでの手順も解説します。
まずは選び方のポイントから読み進めて、庭に合う最適なグランドカバーを見つけましょう。
北海道のグランドカバー選びのポイント

北海道は夏と冬の気温差が大きく、地域ごとに環境条件が変わります。
そのためグランドカバーを選ぶ際は耐寒性や耐雪性だけでなく、日照や土壌の特徴を総合的に判断する必要があります。
耐寒性
まず重要なのは耐寒性です。
冬の最低気温に耐えられるかどうかで、越冬の成功率が大きく変わります。
目安として、最低気温がマイナス20度前後になる地域では寒さに強い品種を選ぶと安心です。
品種のラベルや育成情報で「耐寒温度」や「耐寒性ゾーン」を確認してください。
耐雪性
北海道では積雪による物理的なダメージを受けやすい点にも注意します。
雪に埋もれても枯れにくい種類、重雪で折れにくい茎を持つ種類が向いています。
また、雪解け時の凍結融解サイクルに強いかどうかも重要で、地上部が気温差で傷まないものを選ぶと回復が早くなります。
日当たり適応
日照条件は場所によって大きく異なります。
日当たりの良い場所が多ければ、日光を好むグランドカバーを選ぶべきですし、木陰や北向きの場所が多ければ耐陰性の高い種類が向いています。
また、季節ごとの日照変化も考慮し、春先の雪解け時に十分な光が届くかどうかを確認してください。
土壌適性
北海道の土壌は地域によって酸性や砂質、粘土質など差が大きいです。
植える前に簡単な土壌診断をして、適する植物を選ぶと失敗が減ります。
土壌タイプ | 適した例 |
---|---|
酸性 | シバザクラ |
中性 | タマリュウ |
やや乾燥 | セダム |
粘土質 | アジュガ |
必要なら石灰や腐葉土でpH調整や排水改善を行ってください。
踏みつけ耐性
通行の多い場所には踏まれても回復する種類を選ぶと良いです。
- 高い耐踏性
- 中程度の耐踏性
- 低い耐踏性
踏まれることが想定される場所には、密に広がるものや茎が地面を這うタイプがおすすめです。
繁殖力
繁殖力が強い種類は早く地面を覆えますが、管理が必要になることもあります。
周囲に広がって困る場合は、ランナーで広がるものより クローンでまとまるタイプを選んでください。
逆に短期間で覆いたい場所では繁殖力の強いセダム類などが便利です。
成長速度
成長速度が速いと早期に美観を得られますが、手入れ頻度が増す可能性があります。
成長の遅い種類は手間が少なく済みますが、初期に目土や植え付け密度でカバーする工夫が必要です。
手入れ頻度
手入れにかけられる時間をあらかじめ想定してください。
頻繁に刈り込みや補植が可能なら成長の早い種類も問題ありませんし、手間をかけられないなら低メンテナンス種を選ぶと安心です。
以上を踏まえて、利用目的や場面に合わせた品種選定を行うことをおすすめします。
北海道で育つ代表的グランドカバー植物

北海道の気候に合うグランドカバー植物は、耐寒性と耐雪性が重要な選定ポイントになります。
ここでは実際に庭や公共スペースでよく使われる種類を、特徴と管理のコツを交えて紹介いたします。
シバザクラ
春に一面を花で覆う景観が魅力のグランドカバーで、庭のアクセントに最適です。
低く広がりやすく、踏圧に強い性質のため、やや歩行のある場所にも向きます。
- 花色 ピンク白赤
- 花期 4月から6月
- 日当たり 必須
- 土壌 水はけの良い場所
- 管理 剪定で形を保つ
北海道でも雪の下で翌春にしっかりと開花する品種があり、植え付けは春か秋が基本です。
クリーピングタイム
ハーブの仲間で、踏むと爽やかな香りが広がる点が人気です。
耐寒性は比較的高く、乾燥気味の土壌を好みますので道や石畳の間にも適します。
花期には小さな花が密に咲き、蜜源としてもよく利用されます。
冬場は雪下で葉色が落ちることがありますが、春に再び展開することが多いです。
セダム
多肉質の葉を持ち、乾燥や薄土にも強い点が特徴です。
種類が豊富で、斑入りや花色のバリエーションが庭の表情作りに役立ちます。
種類 | 特徴 | 耐寒性 |
---|---|---|
セダムスペクタビレ | 大きな花穂 | 高い |
セダムアルブム | 白い花と銀葉 | 中程度 |
セダムフォルモサム | 匍匐性で密生 | 高い |
屋根下や乾燥気味の斜面など、手間をかけたくない場所にも向いております。
ディコンドラ・エメラルドフォールズ
細かい葉が美しい芝生代わりのグランドカバーで、涼しげなグリーンが魅力です。
踏まれる場所にはやや弱く、軽い通行程度の場所に適します。
厳冬期には雪圧や寒さで地上部がやられることがありますので、春先の目視で傷んだ部分を補修してください。
タマリュウ
半日陰から日陰に強い常緑のグランドカバーとして、和風の庭や通路の縁に多く用いられます。
葉が厚く、踏みつけにも比較的強いので実用性が高いです。
成長は緩やかですので、初期はマルチングや除草で守ると良好に広がります。
ツルニチニチソウ
グロッシーな葉と春から初夏にかけて咲く花が魅力の常緑性グランドカバーです。
繁殖力が強く、広がりやすい性質のため管理を怠ると他の植物を覆ってしまうことがあります。
剪定で成長をコントロールしながら、木陰や斜面に敷き詰めると美しく維持できます。
アジュガ
紫や青の花穂と、紅葉する葉色が楽しめるグランドカバーで、明るい日陰に良く合います。
繁殖はランナーで広がるため、比較的短期間で地面を覆いたい場所に向いています。
水はけの悪い場所では根腐れしやすい点に注意が必要です。
ハツユキカズラ
白やピンクの斑入り葉が美しい観賞価値の高いグランドカバーです。
匍匐性に植えると這うように広がり、アクセントとして庭の縁取りに向いています。
寒さに対しては品種差がありますので、北海道の寒冷地では風当たりや積雪の少ない場所での利用を推奨いたします。
植え付けと設置の実践手順

北海道の厳しい気候を前提に、植え付けから初期管理までの流れを実践的に解説します。
適切な準備とちょっとした手間で、生育が安定しやすくなります。
植え付け時期
適期を守ることがグランドカバー成功の第一歩です。
北海道では春の雪解け後と、秋の落ち着いた時期が基本になりますが、種類ごとに最適な時期が異なります。
- 春(5月中旬〜6月)
- 秋(9月下旬〜10月)
- 夏植え(高温期は灌水管理が必要)
植え場所の整地
まずは既存の草や根をしっかりと取り除きます。
次に耕して硬い層を崩し、表面を平らに整えます。
排水を良くするために、軽い傾斜を付けるか、盛り土で高くする方法も有効です。
土壌改良
植え付け前に土壌の状態を確認し、必要ならpH調整や改良を行います。
粘土質が強ければ腐葉土や砂を混ぜ、排水性を高めてください。
有機質を適度に加えると保水と肥沃度が向上し、初期の活着にも有利です。
植え付け間隔
植え付け間隔は見た目と早期覆蓋のバランスで決めます。
植物 | 間隔の目安 | 備考 |
---|---|---|
シバザクラ | 20cm | 花付き重視 |
クリーピングタイム | 15cm | 密植で匍匐しやすい |
セダム | 10〜20cm | 種類で差あり |
ディコンドラ | 15〜25cm | 早めの覆蓋推奨 |
表はあくまで目安ですので、苗のサイズや成長速度を見て調整してください。
マルチング
植え付け後は有機マルチや敷き藁で地表を覆うと保湿と雑草抑制に効果があります。
厚さは2〜3cm程度を目安にし、株元に直接接触させないように間隔を取ってください。
冬に備えて敷き戻す場合は、雪が融け始める前に軽く取り除いて通気を確保します。
初期散水
植え付け直後は根と土の隙間を埋めるためにたっぷりと散水します。
以後は表面が乾いたら深めに与え、浅い頻繁な水やりは避けてください。
長雨や冠水のリスクがある場所は、排水対策を優先して実施します。
根付くまでの保護
植え付けからおおむね一シーズンは踏み跡やペットの通行を避けて養生します。
必要ならメッシュや簡易フェンスで通行を制限してください。
秋植えの場合は初冬の霜や強風から守るために寒冷紗を活用すると安心です。
日常管理と年間メンテナンス計画

北海道の気候を踏まえた日常管理は、年間を通した視点が重要です。
春の急速な成長期と冬の準備期間でやることが変わりますので、季節ごとのポイントを押さえておくと安心です。
水やりの目安
植え付け直後は土の表面が乾いたらたっぷり水を与えて、根をしっかり張らせることを優先してください。
定着後は地域の降雨量に合わせて頻度を調整します。
夏の高温期は朝に深めに与え、蒸れを避けるため夕方の散水は控えめにすると葉の病気予防になります。
乾燥に強い種類でも長期の渇水はダメージになりますので、様子を見て補水を行ってください。
施肥のタイミング
基本は生育が始まる春先と、回復を助けるための秋に施肥するのが良いでしょう。
緩効性肥料を使えば一度で長く効くため、頻繁な追肥を減らせます。
新芽が展開する直前に軽く与え、盛夏の直射と連動して与える場合は量を控えめにしてください。
過剰施肥は葉ばかり茂らせ、冬越しを弱める原因になりますので注意が必要です。
除草と雑草対策
雑草は早期に取り除くほど根張りを防げますので、定期的なチェックを習慣にしてください。
手作業で抜くことが最も確実で、根ごと除去すると再生を抑えられます。
- 手で引き抜く
- こまめな草むしり
- 除草マットの併用
- 根の浅いうちに処理
除草剤は場面を選んで使い、グランドカバー自体を傷めない製品を使用してください。
剪定と刈り込み
見た目を整えるための剪定は、種類ごとの特性を踏まえて行うと効果的です。
年間の目安を表にまとめますので、手入れ計画作成にご活用ください。
季節 | 作業内容 | 頻度 |
---|---|---|
春 | 枯れ株の剪定 | 1回 |
初夏 | 形を整える刈り込み | 1〜2回 |
秋 | 軽めの刈り込み | 1回 |
高さや密度の調整は刈りすぎに注意し、小まめに様子を見ながら行ってください。
踏み圧の補修
通路や子どもの遊び場など踏まれやすい箇所は、早めに補修して見栄えと機能を回復させます。
部分的に薄くなった場所にはランナーや株分けで補植する方法が有効です。
土が沈んでいる場合は目土でレベルを整え、踏み固められている箇所は軽く耕して根の張りを助けてください。
一時的に踏み入れを制限する札やロープを使うと、回復が早まります。
病害虫の早期発見
定期的に葉裏や茎元を観察して、異常な斑点や食害跡を見つけたら早めに対処してください。
代表的な被害としてはナメクジやアブラムシ、うどんこ病などが挙げられますので、兆候を覚えておくと便利です。
被害が小さいうちは被害葉の除去と環境改善で十分対応できる場合が多いです。
広範囲に及ぶ場合は薬剤を検討しますが、まずは生物的防除や手作業での除去を試してからにしてください。
冬季の対策と雪害への対応

北海道の冬は積雪と低温が厳しく、グランドカバーにとって負荷が大きい季節です。
適切な対策を講じれば、春の回復が早まり、長期的な維持管理が楽になります。
雪寄せと排雪
除雪は植物を傷めないように配慮しながら行う必要があります。
雪を寄せる際は根元を直に押し付けないようにし、ふんわりと積み上げる感覚で作業してください。
- スノーダンプ
- スノーブロワー
- 雪囲い用ネット
- 仮置き場の確保
- 清雪の分散捨て場
除雪機を使う場合はブレードが土を削らない高さに調整し、土壌の露出を避けることが重要です。
また、道路から運ばれてくる融雪剤や凍結防止剤が付着しないよう、通路脇のグランドカバーには直接雪を捨てないでください。
雪圧対策
長時間の積雪や重い湿雪は植物の葉や茎を折る原因になりますので、早めの対処が望ましいです。
積雪深 | 推奨対応 |
---|---|
30cm未満 | 観察と放置 |
30cm〜60cm | 軽く雪を落とす |
60cm以上 | 部分的に除雪する |
低温で凍結した雪の塊は落とすと枝や葉を傷めることがあるため、細心の注意を払って作業してください。
支柱や簡易のアーチなどで雪の重みを分散させる方法も有効で、特に背丈の低い草本には効果があります。
根元保温
根元の保温は凍結被害を和らげ、春の生育を助けます。
落ち葉や藁などの有機マルチを薄く敷くことで地温の急激な低下を防げますが、厚く敷きすぎると通気が失われ腐敗の原因になります。
寒風が直接当たる場所には、不織布や寒冷紗で風よけを作ると効果があります。
なお、過度な保温材は雪どけ後の蒸れを招くため、春先に取り除くタイミングを計画しておくと安心です。
春先の目土補修
雪解け後に地表が露出すると、凍融による窪みや土の流失が目立ちます。
目土で表土を補填し、種や苗の周囲を均すことで新芽の発生を助けます。
混ぜる土は周囲の土と馴染む質のものを選び、堆肥を少量混ぜて微生物の活動を促すと良好です。
冬越し後の回復管理
春になって雪が消えたら、まずは被害状況を冷静に評価してください。
葉や茎が折れている場合は枯れた部分を切り戻し、健全な成長点を残すようにします。
施肥は土が十分に乾いてから、緩効性肥料を少量与えるのが安全です。
踏み圧で傷んだ箇所は早めに補植し、通行制限で回復を待つと回復率が高まります。
病害虫の兆候があれば早期に対処し、必要に応じて専門業者に相談してください。
導入前チェックリスト

導入前に最低限確認しておきたい項目をわかりやすくまとめました、準備不足で後悔しないためのチェックリストです。
現地の状況と目的に合わせて、ひとつずつ確実に点検してください。
- 育てる品種の耐寒等級の確認
- 想定する積雪量と排雪計画の確認
- 日照条件と設置位置の確認
- 土壌の排水性とpH測定
- 踏みつけ頻度に応じた種類選定
- 必要な苗数と植え付け間隔の算出
- マルチング材や防草シートの用意
- 除雪や冬越し対策の具体化
これらを事前にチェックしておけば、導入後の手間が減り美しいグランドカバーを長く保てます。